遺言・相続
オーナーである中小企業の経営者には、「三つの顔」があると思います。一つは代表取締役としての公人の立場、二つ目は家族を支える長たる私人の立場です。大企業の雇われ社長と異なり、金融機関からの借入れの個人保証、あるいは個人保有不動産を会社に貸し付ける等、法的・財産的には公と私が重なっていることが多く、これが三つ目の顔でしょうか。
株式会社の場合、一族で株式持ち合いをしているケースが普通です。私人としての相続が株式分散を招くと、公人たる会社経営に支障を及ぼすことにもなりかねません。ただ相続法はあくまでも一次相続(例.夫→妻)を前提にし、遺言でも二次相続(例.妻→子)の内容は指定できません。遺族の“総意”で遺言と異なる内容の遺産分割協議がなされるなら納得できるのですが、法定相続分または遺留分(法定相続分の1/2又は1/3を請求できる権利)を主張する方がいて揉めるケースも往々にしてあります。法改正により、法定相続分を超えた財産について、遺言の内容が実現できなくなるケースもあり得ます。片や、配偶者居住権という新制度により、残された奥様の自宅への住まいの継続を確保することができます。やはり「三つの顔」を前提に、先ずはしっかりした私人としての遺言を書くことと、並行して公人として誰に事業承継させるのかを予め決める必要があります。
共に、宝物を大事に発掘いたしましょう。
スマート信託(トリニティラボ)認定アドバイザー
遺言・相続
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